遺物用接着剤「ポタグルー」を開発されたお二人

5月の考古学協会では、釜石市教育委員会の加藤幹樹さんや、土器修復家の岩月真由子さんと、釜石市屋形遺跡から出土した、弥生初頭の土器とその修復状況を紹介させていただきました。加藤さんのご尽力で、可愛い弥生土器と、縄文土器も展示できたので、多くの方々に会場で実物を手にとって、優しい風合いの修復・復原に感心していただくことができました。たくさんの研究者の方々から、「今後は、こうした方向しかありませんね」という評価をいただいたことは、裏方としてプロジェクトに関わった者として、望外の喜びでした。お声をかけてくださった皆様、ありがとうございます。

考古学協会会場にてさて、写真は、今回の修復で用いられた、土器用接着剤「ポタグルー」を開発した、岩月真由子さんとウエマツ画材店社長の上田邦介さんのお二人です。いずれ詳しくその業績を紹介しますが、上田さんは、日本画材料を扱う画材店を営みながら材料研究に取り組み、東京藝術大学で講義されるなど、絵画材料学の世界では著名な方です。生産が停止して日本画家を困窮させている和膠に代わる合成膠、アートグルーを、絵画用メディウムとして開発したことでも広く知られています。

この上田さんが開発した代用膠のアートグルーに、土器修復家として目をつけたのが、岩月真由子さんです。アートグルーは、顔料の伸展剤としての性格が強いため、接着剤として用いるには少し水っぽい。そこで試行錯誤の末に土器接合用に最適化した濃度を導き出し、上田さんに依頼して作りあげたのが、土器用合成膠のポタグルー、というわけです。ポタはもちろんポッタリー(土器)からの命名。このポタグルーが、土器用の接着剤として、どう卓越しているかについては、おいおい説明していきます。

ちなみに岩月さんは、もともと彫塑家で、東京藝大、同大学院(塑像研究室)でテラコッタを学んだ後、渡欧してデンマーク、ドイツ、フランスの大学で研鑽を積んでこられた方です。ソルボンヌ大学では、比較言語学を専攻したという才媛。帰国後は、しばらくINAXのライブミュージアム「土・泥んこ館」で学芸員を務めておられました。「百土箱の部屋」は、その時の成果。その岩月さんを見つけて、考古学の世界に連れてきたのが、元愛知県埋蔵文化財センター、現在ニワ里ねっとの赤塚次郎さん、少し乱暴なまとめ方をすると、そんな感じになります。

 

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