土器を石鹸で洗う話

能登半島の付け根、古代から続く聖地で発掘調査に従事しています。発掘しているのは、加賀から続く長大な砂丘と、能登半島の丘陵帯の境界線に当たるエリア。
これまでは、主に砂丘側で調査しておりましたが、調査区が段丘側に伸びました。その結果、粘土質の包含層から土器が出土し始めました。

すると、出土品の洗浄をしていた方から、一つの訴え。粘土がネバネバしているため、なかなか土器から洗い落とせません!と言うのです。
皆さんご存知のように、よくあるケースです。多少は処方箋を知っていましたが、色々なやり方があるという記憶があったので、例の「土のプルフェッショナル」に電話で相談。

その結果を簡単にまとめると、以下のような返事だったので参考にしてください。

1.(第一合成で売っているような例の豚毛の)ブラシでトントンやったり、ましてゴシゴシやったりするのはご法度。

それは何故かと言うと。粘土は、かき混ぜればかき混ぜるほど粘性を増す。トントンやれば、土器に食っついて、ますます引っ付き、分離しにくくなる。しかも粒子が細かいから、トントンやればやるほど、土器の微細な間隙に、どんどん入っていって、さらに厄介なことになる。

そこで、それに対する基本的な対策。粘土の粘性を支えている、物理的、化学的特性を遮断すればよい。

2.物理的対処。土器の状態を踏まえての上での処置となるが。とりあえず乾燥させてしまう。すると。土器と、それに付着した土壌との物理的特性が異なるので、剥離しやすくなる。そこで、例のブラシで乾いたままトントンやる。すると、簡単に粘土の大半が剥がれる(当然、細かい部分については相応のノウハウがいるが)。

次に、粘土の化学的特性を踏まえた処理。

3.残った粘土質の土壌は、石鹸を使って洗い落とす。化学的に言うと、粘土分子を、その特性を殺す、石鹸の分子で覆ってしまうと言うこと。具体的には、固形の洗濯石鹸を水分を含ませた歯ブラシ(先の細い繊細なタイプが良)につけて、叩くのではなく優しく洗い拭うように除去していく。ぬるま湯で洗うのが、化学的にも吉。もちろん、石鹸分は、最後に優しく洗い落としておくこと。

と言うことで、実際、ぬるま湯、石鹸(洗濯石鹸がなかったので牛乳石鹸)、歯間の歯垢を優しく取ってくれる歯ブラシ、で洗浄したところ、非常によく泥が落ちるようになった、との報告を作業に当たった方から得ました。

興味ある方は、お試しあれ。

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