タルクって何?

タルク(talk)と横文字で言われると、何だかよくわからない。まして「ベビーパウダー」と言われても、いったいどんな材料なのか見当もつかない。

しかし、滑石(かっせき)と言われれば、すぐ分かる。いわゆる滑石製模造品が、古墳時代中期の東日本で盛行したこと。東山道の神坂峠祭祀遺跡から剣や鏡を模ったそれが大量に出土した程度のことであれば、不肖私だって知っている。要するに、爪で簡単に傷がつく、あの柔らかい「ろう石」だ。

滑石(タルク)はマグネシウムのケイ酸塩からなる粘土鉱物の一種、含水珪酸マグネシウム。無機鉱物中、最も硬度が低くて加工性に富み(モース硬度1)、耐熱性に優れ、しかも化学的に安定していることから、配合充填材(Filler)として工業用に広く使われている。ベビーパウダーをタルカムパウダーというのはタルクから来ている、というのは今回初めて知った。日本タルク株式会社によれば、次のような用途があるという。

  • 紙・パルプ: 填料・ピッチコントロール剤・塗工剤
  • プラスチック: 剛性の向上・耐熱性の向上・成型時の寸法安定性の向上・電気絶縁性の向上 艶消し用・燃焼熱の低減
  • 塗料: 塗料の体質顔料・粉体塗料・たれ防止剤
  • ゴム: 電気絶縁性の向上・耐熱性向上と補強剤・離型剤
  • 医薬品: 錠剤の賦形剤
  • 化粧品: パンケーキ(ファンデーション)・ボディーパウダー・アイシャドウ・口紅
  • セラミックス: 陶磁器の釉薬・陶磁器のさや・ステアタイト磁器用
  • 農薬・肥料: 農薬のキャリヤー・肥料の固結防止剤

滑石は、マグネシウム・ケイ酸塩でできた岩石が熱水変成して生じた変成岩なので、多くの鉱物と混在して産出することが多い。産地によっては、その成分にアスベストが混じっている場合がある。それをベビーパウダーなどに使っては大変だから、日本では厳しい基準が設けられているようだ。

ドロマイトも、熱水変成して滑石になる。両者はいずれもマグネシウム・ケイ酸塩系の粘土鉱物で、兄弟のような存在だが、両者の化学的・物理的な性格は全く異なる。そのため、いずれも焼き物の修復に利用されるが、その用途はそれぞれ全く異なる。砥之粉(とのこ)などとともに、いわゆる金継ぎの骨材に利用されるのが、加工性や化学的安定性に富むタルク(滑石)である。

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